第20回 いい商品を売れ。必ずお客様は来てくれる!

いい商品を売れ。必ずお客様は来てくれる!


~目先の利益でなく、お客様の利益になる商品を売って繁盛しよう!~

■売上げ欲しさに、あの手この手をつい追ってしまう。真の商いの成功者はブレないものだ。成功したかったら、本当にお客様の役に立つ商いをしよう。

シモナカの住む福井県もコウノトリの人工飼育が進められています。
今回はコウノトリ飼育の先進地・兵庫県豊岡市の「コウノトリ育むお米」(無農薬)の販売に力を入れているお店を紹介します。
沖縄県のスーパーチェーン「サンエー」のことです。

「サンエー」上地哲誠社長が、コウノトリに由来する無農薬米作りをしている豊岡市・中貝宗治市長の講演を聞き大いに感動。
その場で「このお米を、わが店でも売らせて戴きます。やるからには沖縄でこの米を年間に100トン売ります」、と約束しそれを実行されている、という話について~、です。

「沖縄サンエー」は知る人ぞ知る、素晴らしい会社です。
「いい商品を売る、いい商いをする」、という理念の会社です。

普通のお米より2~3割、高価なのですが,「豊岡のコウノトリ米」を「サンエー」は「作り手のこころ」を熱心に添えて売っているのです。
沖縄のお客様に美味しいお米、健康にいいお米を食べて戴きたい、という思いからです。

もちろん、最初は「コウノトリのお米・豊岡のお米」といってもお客様は知りません。
そこで豊岡の大貝市長を「サンエー」に招き、幹部がその話を聞きました。
「いいお米作り」の話を聞いた社員達がお客様に熱心に語りかけ、年間100トンも売るようになった、というワケなのです。
いい商品なら売れる、という単純な話ではないのです。

この「コウノトリ米」は「おいしさ度」も高いですが、価格も高いです。
しかし、売場の人たちが生産者の思いを伝えるからでしょうか、非常によく売れているのです。

■「売れる商品がいい商品だ」というのは錯覚。いいモノを売るには熱意が大事。紛らわしい商いが横行している今、正しい商いをする店だけが生き残る!

「合成着色料を使った商品は一切売らない」という経営方針のスーパーがあります。
しかし、世の中の流れが、「売れる物を売る」「売れる商品がいい商品なのだ」という傾向のなかで、良心を貫くのは極めて厳しいようです。
基本的に、いい商品は高く、売れにくいのです。

「サンエー」は地元のいい商品を安売りしてはいけない、という信念の会社です。
安売りすれば従業員の給料も安くなるかも知れない。
それでは地域の振興に役立たない、と考えているのです。

いい商品をいい値段で売る。お客様にもいいし、従業員にもいい。
地域の幸せとは、そう言うことなのだ、と考えているのが「サンエー」であり「上地社長」なのです。

ある有名な「産直ショップ」でシモナカが大好きな「山椒の佃煮」を求めました。
美味しそうだったので2瓶買いました。ところが何日目かに腐り始めました。
その店に電話しましたら「冷蔵庫に入れなかったからでしょうね」、という返事。
「そう言う表示はなかったですね」というと「そうでしたか。売場にそう言っておきます」と、つれない応対でした。

結局、1瓶半を捨てました。これでこの店の「産直精神」の「いい加減さ」を知りました。
「産直がいい」という錯覚、迷信に皆さん、ご注意下さい。

鮮度の高い商品を売る、おいしい商品を売る、健康にいい商品を売る。
という熱い志を忘れた「産直ショップ」は避けるべきですよ。

先の「サンエー」はお客様の期待に応える商いを目指しています。
この「サンエー」には新しい店を出す為の「開発担当」者がいません。
「ウチの開発担当は日々の商いです」と上地社長はさらりと言います。

いい商いをしていればお客様が、「サンエーさん、ウチの物件に出店して下さい」と言ってきてくださる、という話なのです。
そうした事例が幾つもあるから、「開発担当は日々の商いです」と言えるようです。

■40年前、本土復帰の時から始まった「サンエー」の地元経営。その時からお客様本位の商いが始まっていた。

本土復帰前の沖縄は、ドルが通貨でした。
1ドル360円。それが本土復帰の時、換算レートが305円になったのです。
分かり易く言えば時給360円だったのに、305円に下がった、と言うことです。
勿論、買うときも安くなるのですから、問題はないはずですが、買うときの値段は急に下がりません。
労働組合などは360円で払えと騒いでいた頃です。

この時、「サンエー」は従業員の給料は360円計算で支払い、商品は305円計算で売ったのです。
「この時の先代社長の決断が今のサンエーを作った」と上地社長は言われます。

当時、小さな店だった「サンエー」にとっては厳しい選択でしたが、お客様にも従業員にも喜ばれる方を選んだのです。
この精神が、今の企業に伝わっているのですね。

当時を振り返り、上地社長は「創業社長が偉かったのです。
それを直近で学べた我々は更に幸運でした」と言われます。

商いには、経営技術は必要です。しかし、世の大企業を見て下さい。
創業者が持っていた経営哲学を忘れ、日々、あの手この手の経営に忙殺され大赤字に苦しんでいるのが現実です。
創業者が生きていたら何と言うでしょうか。

商いは人間業です。
人間が生きてゆく上で何が大事なのか。そこをキチンと追いかけている店がお客様の支持を得ているのじゃないか、と思います。
「店はお客様の為にある」。この基本理念が大事なのですね。先の「産直ショップ」も創業者がいたら何と言って嘆くでしょうか。
「お客様の為に尽くす商い」。
あらゆる経営手法に勝る経営戦略だと思います。


<シモナカ的用語解説>
【たかが店頭商品】=店頭商品、特価商品。多くは魅力ない商品が多い。「これぞ店頭商品」を期待します
 【売上げ欲しさに、あの手この手を追う】=単なる安売り、おとり商法など
 【「コウノトリを育むお米」(無農薬)】=豊岡市ではこういうブランド名で無農薬米を作っています。コウノトリはいい自然環境の所にしか住みません。コウノトリが住むと言う事はそこの自然が安心である、という証拠なのです
 【豊岡市大貝市長】=地域振興に熱意を持つトップセールスマン的市長として有名
 【米の「おいしさ度」】=「サンエー」は全ての米の「おいしさ度」を専門業者に測定させ、これを表示し、価格と味のバランスでお客が求めやすいようにしている
 【合成着色料を使った商品は一切売らない】=山梨県甲府市いちやまマートが実施している
 【安売りしない地域貢献】=地産地消という精神で、更に、消費者だけでなく、地域の生産者も販売業者も喜び合える商いが大事という当たり前の発想
 【開発担当は日々の商いです】=日々の商いに満足したお客はその店の営業マンとなり、開発担当者となる
 【1ドル360円と305円】=高く支払い、安く売る。他の商人の逆を行ったことで社員が自店に誇りを抱き繁栄の基礎となった
 【大赤字に苦しんでいる大企業】=有名な大手企業、大メーカーが大赤字で苦しんでいる。かつて下請けだった近隣諸国の企業が好決算を出しているのに。残念
 【商いは人間業】=流通業とか小売業とか言うが所詮は人間業。売り手も買い手も人間。その思い、こころが大事

筆者 下中ノボル (しもなかのぼる) プロフィール


*「店・企業は客の為にあり」が生涯の経営信条。(「商業界」理念)
*規模の大小を問わず企業生き残りの条件は「時流適応」と「顧客創造」。
*商業者に具体的アドバイスをする中小企業診断士。
*経営誌「商業界」、「2020AIM」などに執筆、他に著書多冊。
*中小企業経営大学校や各地商工会議所などの講師や専門委員を務める。
*専門課題は時流適応の商店経営戦略、マーケティング戦略など。

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