第18回 新しい団塊老人客の生活は厳しい。だから、その客を掴む店は勝つ!

新しい団塊老人客の生活は厳しい。だから、その客を掴む店は勝つ!


~再びシニア狙い商売の提案。笑顔学校で習う者が勝つ?~

■「団塊世代はいいお客様」か。新・老人?は甘くない時代を生きている人。
厳しい購買者であることを知らなあかん。このお客様に売る店が勝つ!

京阪地方の某市商工会議所主催の経営勉強会があり、同市内で食品店を営む久坂さん(66才)が出席しました。
そこで刺激的な意見を幾つか聞いてきました。

「売れん、売れんと商人さんは言いますが、失礼ながら、少し考えが甘くないですか。われわれ定年退職者は、それなりのプライドがありますから、みんな平気そうな顔をしていますが、本当はかなり厳しい状況なんですよ」
「現実の日々の暮らしもそうですが、もっと先々の生活が心配なのです。年金受給額は減り、払う保険代は上がる。先の見通しが立たないんです。現実の日々の生活では、それなりに頭を使って、お値打ち品を探して買って暮らしています。どうか商人さん、助けて下さいよ」。
顔見知りのお客様(67才退職者)がしみじみと、意見を述べてくれました。


会場で貰った資料によりますと、わが国人口の約7%に当たる約800万人が“新しい年寄り”になったようです。
このマチでも同じ率の年寄りが誕生するわけです。
世間では“団塊の世代”などと格好良く呼んでいますが、呼称はともかく、こうした世代をつかまえることが、これからの商いに重要なのです。
この“新・老人”はパソコンやスマホを上手に使いこなし、ファッションも、これまた上手に着こなす人たちです。

「団塊世代はオイシイお客”」、「しっかりオカネを使ってくれる客層」、「この層を狙って上手に商いを」、などとマスコミも評論家もそう言うのでかなり期待していましたが、現実は決して甘くない厳しいお客様でした。
この新・老人を相手にどう商いをすればいいのか、この勉強会に出た久坂さんは疑問が残りました。

先日、大阪の知人がこう言っていました。
「難波から梅田まで御堂筋を1時間近く歩いて来たけど、1円も落ちていなかった。退職して年金暮らしとの者には厳しい現実ですゎ……」。
意味はお分かりと思いますが、難波から梅田まで御堂筋を約4キロほどを歩いて来たが、稼ぎのネタになりそうなコトは一つもなかった。
現役時代は、もっと働いて、もっと稼ぐ、と考えたが今の自分はそうでなく、ただ節約して凌ぐといういささか惨めな感慨になっています、という話をしたのです。

 この「老人感覚」を聞いて、知り合いの商人・前田さん(総菜店経営)と柳井さん(衣料雑貨店経営)が、「これは、本気で考え直さなあかん思った」と発言しました。

■以前よく売れたからと、同じ柳の下で、同じエサで、同じ釣り方をしていてもあかん。すべて日々変わっているんや。釣り方を変えなあかんなあ!

「年寄り好みのお総菜も、以前と変わりました。かつてのお年寄りは、煮物などを好まれましたが、今のお年寄りは肉類や揚げ物を結構、好まれます。もっとも、若い頃の様には行きませんが~」。
総菜店の前田さんの話です。

変わったのは「買ってくれる量です」。いまは核家族時代。親は親夫婦で暮らし、若夫婦はその子供達と暮らす。
3世代同居は少ないです。この若?年寄り夫婦が、二人分だけ買うのですから少ないワケです。

今はパックの量もかなり少量です。何気なく、「3個で000円」なんてしますと「2個売りにして!」とすぐ言われます。
焼魚の切り身も従来は「3切れ売り」が常識でした。
日本人は「3」という数字を好む習慣もあり、売り手発想でよかったのですね。
今は、いわゆる「お客様の立場に立って売る」という売り方が必要なんです。


衣料雑貨の柳井さんは「新・年寄りは着るファッションには余りカネをかけない」と見込んでいます。
そこで、介護用品を扱ったり、クールビズの冷スカーフや速冷スプレーなどを品揃えしています。

更に、大人用のオムツや杖、補聴器用の「集音器」、健康に良いという「機能まくら」などに力をいれています。
これらを充実させ「シニア・ライフ専門店」にもなろうとしています。よく売れているようですよ。

またお年寄りの「たまり場」にしたいと、売場の後方にテーブルと椅子を置き「簡単なサロン」にしています。
お湯のポットを用意し、お客様が自分でお茶や紅茶が飲めるようにして、「暗い話題無しの井戸端会議ところ」としています。

■お客様のこころに響く商い。日よけ傘や健康茶ティーバッグ、更に「笑顔」のプレゼント。その心配りがお客様の人気を呼んでいます。

「日傘プレゼント」と言いますと、「かなりの費用になる」と思いがちですが、実際にこれを実施しているお店がありお客様から好評を得ています。
一定額お求めのお客様や、天候次第で随時、お客様にプレゼントしていますが、しゃれたビニール製なので、そう大きな金額にならないようです。


健康茶プレゼントも同じです。ティーバック2個入りですが、極めて安いようです。
ただ、お茶は美味しいことが基本です。
タダで上げるのだから、と美味しくないお茶を上げるのでは上げない方がいい様です。

よく売れる店と売れない店の差に、「笑顔の差」があります。
笑顔はこころから笑わないと苦笑いになります。
傘やお茶をプレゼントしてもこころが伴っていなければマイナス効果になります。

モノでお客様のこころを釣ろうとしている、と見透かされます。
商いは普段からの真摯な気配り、こころ配りが決め手です。
笑顔はお客様への大事なサービス心の表し方ですから、それなりの時間と、それなりの費用を掛けて習うと効果的です。
各地に「笑顔教室」などがありますから真剣に検討されることをお勧めします。

お客様の年齢が高齢化する今が時代の変わり目。
大手商店も必死。中小商業者は生き残りを賭けて、本気で真剣に取り組むことが大切です。
充実した商人人生を賭けて、本気で取り組みを!!


<シモナカ的用語解説>
 【団塊の世代】=第一次ベビーブームに出生した1943年から1949年までの世代をいい、3年間の出生数の合計は約806万人。これは人口数からの単純な定義
 【稼ぎのネタになりそうなコト】=新商売や新商品など商売のネタ
 【日本人は「3」という数字を好む習慣】=正月三が日、背番号「3」、三人娘、など
 【機能まくら】=高さ、堅さを調節できる枕など
 【暗い話無しの井戸端会議ところ】=他人の悪口を言わない明るい、いわゆる“井戸端”
 【笑顔の差】=笑顔一つでお客様の気分が変わる、明るくなる、怒らない
 【各地に「笑顔教室」】=各地の文化教室など。インターネットでも検索できる

筆者 下中ノボル (しもなかのぼる) プロフィール


*「店・企業は客の為にあり」が生涯の経営信条。(「商業界」理念)
*規模の大小を問わず企業生き残りの条件は「時流適応」と「顧客創造」。
*商業者に具体的アドバイスをする中小企業診断士。
*経営誌「商業界」、「2020AIM」などに執筆、他に著書多冊。
*中小企業経営大学校や各地商工会議所などの講師や専門委員を務める。
*専門課題は時流適応の商店経営戦略、マーケティング戦略など。

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