第17回 「売れる・儲かる」その20:80の法則と課題

「売れる・儲かる」その20:80の法則と課題


~最大の商売敵は、変化する客ニーズと過去の成功の甘い記憶や!~

■店の売上げの80%は、売れ行き上位20%の商品で稼いでいる、という法則を見つけた人がいる。オタクもそうや!

「儲からんのは、重点的にやらんからやオヤジ。パレートの法則って聞いたことがないか?
経営は重点管理せんとあかんという法則や。
理屈を言うなとオヤジは思うかも知れんが、これは理屈やない。
ウチの店は皆で、たった5人や。
重点的にやらなかったら効果が出ない、利益も出ない、という話なんや!」と、息子がオヤジに言います。
「偉そうに言うて……」これはオヤジさんの心の中の声。

昨年分の決算をした結果、利益が出なかったから「みんなしっかりしてやれ」と、今日の朝礼でオヤジが檄を飛ばしたあと、息子とオヤジが言い争い?をしているのです。

「パレートの法則というのは、パレートと言うイタリアの学者が色んなコトを分析した結果、売上げの80%は、売上げ上位20%の商品で売っている、ということを発見した。
それを誰かが“パレートの法則”と言うたんや。
また、売っている割合いそのままに“20:80の法則”と言う人もいる」。

「ウチの店で言えば、年商2億円の80%、1億6、000万円の売上げは店内在庫4,000種類(品目)の上位20%、
すなわち800種類(品目)で売っているという話や。
小さなスーパーは昔からの八百屋、すなわち800種屋という訳で、その商品を重点的に売れば今の売上げの8割は確実に稼げるということワケ。
調べてみれば分かるが、ウチの店も必ずそうなっとるハズ」

オヤジさんは、苦い顔をしています。
しかし、心の中では「息子もええ事を言うようになったな。パレートの法則かなんか知らんが、まあ、そう言うことや。
二兎追う者、一兎も得ず、と言う諺もある」。
オヤジは形勢不利の中から、立ち直ってオヤジの威厳を示し始めました。

「分かった。そんならウチの売上げの80%を占めとるという商品を調べてくれんか。
そして、その上位8割の商品を重点的に売ることにしよう!」。

息子の、「それはええけど、分析のためのデータ集めは手作業ではムリやでオヤジ」、と言う話から、結局、重点管理するためのレジやバーコード関連の機器?一式買い、重点管理に取り組むことになりました。

■お客様の変わる暮らしに合わせたサービス、品揃えが大事。すなわち時流適応、変化対応が生き残りの条件ということや

実は昨夜、家族で食事をしながら紛糾した?話題があり、それが今日もいささか、その尾を引いている感じがあるのです。
60才に近い、常連のお客様がこう言ったのです。
「昨日買った煮物、美味しかったわ。味がちょうど良かった。いつもより味が薄かったようで」。

これは、すなわち、いつものウチの総菜の味が、「濃すぎる」、「塩分が多すぎる」、と言う事…。
お客様も高齢化してきているから、塩分を考えた味付けにしないとアカンのやないか、と言う話になったのです。

自家製の総菜は、息子の嫁・和香さん(28才)が作っているのです。

若い嫁が作るんやから、味が濃いのは当たり前や。
息子の健一(33才)はそう思いながらご飯を食べていました。

「まあ、味覚の問題は人それぞれやから、昨日のお客さんがそう言われたことを参考にして、いろいろ工夫してみよう」。
健一はそう言って、この話を終わらせました。

続いての話題…。お総菜はよく売れるが、これからはお客様の高齢化対応と、齢に関係なく働く人がふえることから、もっと総菜に力を入れないとアカン、という話になりました。
そうなると、問題は人手のコトになります。
嫁は調理師の資格があるので担当していかねばならないが、学校に通う子供の世話もあり、大変です。
ささやかな平和なミニ・スーパー一家に時代変化の波がどーっと押し寄せてきたのです。

■いつの間にかコンビニが同じ土俵で商いをしている。美味しそうなモノを売るんじゃなく、美味しそうなお客を食うのがコンビニの本当の姿や!

そこで、総花的な経営では人手が足りないから、「何をウチの中心商品とするか」という話に進んで、今朝の言い争い?へと繋がっているのです。
一見、異次元の商い、商売敵ではなかった筈のコンビニも今では強力なライバルになってきているのですから、問題は深刻です。
特にコンビニは弁当、おにぎり、最近はお総菜でも強力なライバルになってきました。
我が店の特徴である「身近で便利なミニ・スーパー」の市場に食い込んできています。

今のコンビニは、「開いててよかった」だけでなく、「近くて便利」になり、狙う客層が「若い人中心」から「中高年の働いている女性ねらい」にかわり、
最近は更に「コンビニ・スーパー」に変わりつつあります。

コンビニの元祖的存在のセブン・イレブンでは、「お客様の立場に立って考えれば、新しい便利さの創造(今までの不便の解消)の可能性は“無限”にあります」と言って攻めてきています。
言い換えれば、コンビニも小さな市場を攻める経営になってきた、ということなのです。


「総菜の味が濃いとか薄いとか」で内輪もめしている時代やないのです。
「次々と変わるお客様のニーズ、需要に応えてゆくこと」が大事なんです。

これをセブン・イレブン的に格好良く言えば、「変化対応こそが生き残りの条件」、と言うことなのです。

更に言えば、「お客様が求める、当たり前のサービスや売り方をするのが功の条件」と言うことなのです。

セブン・イレブンの創業者・鈴木敏文氏は『「基本の徹底」と「変化対応」が全て』、と社員を指導しています。

「お客様を大事にする当たり前の応対。すなわち基本の徹底」をせよ。
「変わる客層・変わる生活に合わせた品揃え、すなわち変化対応」をせよ。
この様に取り組むのが、厳しい時代を生き残る経営の基本条件の様です。


<シモナカ的用語解説>
 【20:80の法則】=この法則を見つけた人の名をとって「パレートの法則」、あるいは、そのままに「20:80の法則」(にじゅう、はちじゅうの法則)、時には「二・八(ニッパチ)の法則」とも呼ばれています。店員が10人いても問題の80%は二人の店員が起こす、といった比率も示されます
 【重点管理】=これをやれば課題の80%は解決する、という取り組みなどをいいます
 【店内在庫4,000種類(品目)】=小さなスーパーの扱い品目は3~4、000品目が多いと言われています。品目とはこれ以上、分けられないという商品分類のこと。同じラーメンでも5個売りと1個売りがあれば2品目になります
 【八百屋】=八百屋は800品目屋ではなく800品種屋のことです
 【時流適応、変化対応】=言うまでも無く変わる市場に合わせて、売り手も変わらねばならないのです
 【新しい便利さ】=初めは「開いていればよかった」のですが、いまは働く主婦、買い物難民と言われる高齢者にとって便利なこと、など。

筆者 下中ノボル (しもなかのぼる) プロフィール


*「店・企業は客の為にあり」が生涯の経営信条。(「商業界」理念)
*規模の大小を問わず企業生き残りの条件は「時流適応」と「顧客創造」。
*商業者に具体的アドバイスをする中小企業診断士。
*経営誌「商業界」、「2020AIM」などに執筆、他に著書多冊。
*中小企業経営大学校や各地商工会議所などの講師や専門委員を務める。
*専門課題は時流適応の商店経営戦略、マーケティング戦略など。

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第17回 「売れる・儲かる」その20:80の法則と課題 への1件のコメント

  1. 匿名 より:

    今日は~^^またブログ覗かせていただきました。よろしくお願いします

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