第15回 「飽きさせない」のが商いのコツ!

「飽きさせない」のが商いのコツ!
あなたの、その伝え方では売れません
~販売員は伝え方(話し方)をもっと鍛えよ!~
【1】夏物商戦、暑かった割りに売上げはイマイチ。
今年の夏も暑い日々でした。さぞや夏物がよく売れたかと思いきや、中部経産局発表の北陸3県の売上げ数字を見ますと、そう売れて居なかったようですね。
「売れない時に売ってこそ本当の商売人」という言い方もありますので、商売人たるモノ、奮起一番の秋商戦ですね。

まず、中小店の商況です~。
県内中小店の売上げ状況では、今夏も「対前年比売上げは横ばいないし微減」、という店が多かった様です。
(これは公的データでなく筆者の店頭聞き取りデータです)


中部経産局による北陸3県のスーパーの対前年度比の売上げは既存店ベースでマイナス1.4%。
うち、飲食料品は辛うじて0,3%プラスでした。
エアコンなど電気製品はよく売れたと思うのですが、家電は13.4%のマイナスでした。

これは、店頭聞き取りでも、「エアコンなどよく売れているように言われていますが、実態は苦戦です」と聞いていた情報と一致します。

安売りをしても、昨今は「欲しいモノしか買わない」という生活者の生活スタイルが定着しているのですね。

全てがそうだとは言いませんが、「マスコミ報道は一部の記者の思い込み報道が、あることもある」、と業界関係者が呟いていたことを付記します。

スーパーの売れ行きは、既存店ベースで今年3月以降、6月のプラス0.7%を除くと、ず~とマイナス続きです。
したがって、こうしたマイナス市場に合わせた商いをする必要があるのでは、と思います。

例えば、「いま、よく売っている」、という店の品揃えを拝見しますと、安物でなく、普通商品を低価格で品揃え、販売していることに気づきます。

飲食店に例を取りますと、ランチなど、矢張り低めの価格に設定しています。 
例えば580円~650円ということです。

ランチの価格が780円~880円という店と比較すると、客数で30~40%違う、と食材の納入業者は言っています。

厳しくても、お客様の懐具合に合わせる店だけが何とか、売上げを保っているという現実です。

これは、「世間話」と思わないで、「意味のある市場ニーズ、顧客ニーズ」と理解して頂きたいものです。


『商いは、顧客ニーズを見抜いて、的確に対応するモノのみが生き残れるビジネス」と商いの先人が言って言葉を思い浮かべて下さい。

一例ですが、チキンラーメンを開発した安藤百福さんはこう言っています。
「一番大事なことは、自分で直接、お客様の声を聞くこと」。

48才で、お湯を掛けるだけで食べられるチキンラーメンを発明した人の言葉だけに、その言葉に重みがあります。

お湯さえあれば、いつでもどこでも食べられるインスタントラーメンは、日本はもとより、世界の食文化に革命を起こしました。

百福さんは2007年1月、96才10ヶ月で亡くなりました。
その死は速報となって世界中を駆け巡り、ニューヨークタイムズには「Mr.Noodleに感謝」という社説が掲載されたくらい、大きなニュースでした。

【この夏、話題のビジネスチャンス】

この夏、幾つかのビジネスが話題になりました。
それは、閉塞気味の市場には明るい話題です。

ひとつ目、北陸新幹線が2015年春、東京から金沢まで開業になることです。
福井以西が開通になるのはまだまだ先ですが、まあ、うっすらと先が見え始めたようです。

ふたつ目は、東京五輪が7年先の2020年に開催と決まったことです。
7年も先で、しかも東京ではね、という人も居ますが何も見えなかったいままでと較べれば大進歩じゃないですか。

三つ目は、福井国体が五輪の2年前、2018年に行われることです。
これをビジネスチャンスと言わずして何と言うのですか。
人のココロが動き、人が動けば経済も動きます。

具体的に言えば、お金が動きます。
しかし、漫然と待っていてもチャンスやお金はやってきません。
この時期、これから、人々は何を考え、どう行動するか考える人にチャンスがやってきます。

別の表現をします。
『ビジネスとは、誰かに、何かのサービスをして、喜ばれることをすることです』。

【悲惨だった観光地の一例】

先日、北陸新幹線が止まる(?)はずの北陸のある街の海岸(名所)に行ってきました。
新幹線開通後のビジネスを考えながらの観光でした。

一緒に行ったお客様は東京在住の人で、観光ビジネスに関心の深い方でした。

ところが、その海岸には、自然があるだけで観光施設、飲食店、土産物屋など、殆どありませんでした。

「何やこれは?」と思いました。
ここが有名なのはナゼか?と思うくらい、それは知名度とのギャップがありました。

天候もイマイチだったのですが、
「休憩する場所も無いね……」という始末でした。
いやぁ、これには参りました。

しっかり下見をしていなかった、こちらも手抜かりでしたが、もう少し、何か商業施設があってくれたらいいのに、と当惑しました。

「観光地とは?」と改めて考えさせられました。
見るべき自然景観はもちろん大切なんですが、休む場所、食べる場所、持てなす人たち、などが揃っていて、始めて観光地なんだ、と思い知りました。

繰り返しますが、景観や美しい自然があるだけでは観光地では無いのだと、改めて知りました。

自然の他に、人々を持てなす施設と、人を持てなす仕掛けが全く無いと悲惨なものでした。商業力、ビジネス力の大事さを強く感じました。

カネがかかる、と言うことになりますが、ソロバンが合う規模の観光投資をすればいいのです。

あの海岸には、そう言う計算をした人が居なかったのか、どうか。
首をかしげながらそこを去りました。

帰り道、感じたことは、商業者というと金儲けばかりする人種と思っている人に、商業者の役割と、心ある商業者の必要性をしっかり話したい、と思いました。

話題を変えます……。
いつかも書きましたが、太平洋の、ど真ん中にあるハワイのこと。
そこに自然があるだけでなく、人を持てなす施設があり、親切に持てなす人々が居るからこそ、何千キロも離れたこの小さな島に、世界中から沢山の人がやってくるのだと言う事を学んで欲しいと思いました。

北陸のこんな素晴らしいところです。
少しおカネを掛けて欲しいと、しみじみ思いました。

【売り上手は、話し上手、聞き上手】

経営誌「商業界」の最近号の特集は「売れる人の考え方と習慣」です。
内容のある、いい企画です。

トップに紹介されていたのが、有名すぎる人「ジャパネットたかたの高田明社長」です。

高田社長の売り方の特徴は、商品の特徴でなく使い方を提案する事にあるようです。

カシオの電子辞書を売るときは今更、電子辞書の特徴は説明しません。
既に発売されてから20年にもなる商品ですから。

「お子さんやお孫さんの勉強にいかがですか?」という売り方をするのです。
一台3万円ほどするこの商品を、既に10万台も売っているそうです。

電子辞書が子供の教育を変える、という提案で可能性を広げた、と高田社長は言っています。

さらに言っていることは、
『私はメーカーの作ったカタログ通りの事は言いません。自分の言葉で自分の考えを言っています』

更にこうも言っています。

『どんなに立て板に水のように喋っても、自分の言葉でなければ売れません。
どんなに、うまく喋るアナウンサーでも、その人の心を感じない人の言葉は聞き手の心に届かないと思います』。

【東京五輪や福井国体をビジネスにする?】

まだまだ先の話だから、ビジネスにならん、という人がいます。
でも、こういう人はいつになっても、こういう言い方で仕事を始めないタイプの人です。

例えば……。
オリンピックや国体選手のユニフォームは必ず福井産の生地で作られると思います。
それを受注できれば最高ですが,それが難しい様でしたら、別の事や別の人をお客にすればいいではないですか。

「有名選手と同じようなユニフォームを作りませんか?」
「スポーツウエア生地の生産地、福井のメーカーで作りませんか?」
打ち出し方はいろいろあると思います。
ともかく、じっとしていては何ごとも始まらないのです。

東京ではもう五輪まんじゅうなど、既に商いに取り込んでいる店があるようです。
それなら福井で五輪まんじゅうを売り出したっていいじゃないですか。(現実には、法律の問題などがある様ですが)

国体も五輪も現実の開催期間は短期間です。
商いになるのは,それまでの長い期間です。
その期間を「ぼんやり見過ごすことは無いでしょう」と言う事なんです。

「大きなヤマを一発大きく当てよう」としてもそれはムリかも知れません。
だったら小さなヤマを複数当てればいいんじゃないですか。
五輪でも国体でもいいと思います。

他人が「まだまだ」と思っているいまから動き出せば必ず勝てると思います。
商いは「先手必勝」です。

【宿泊客を増やす北陸3県の挑戦】

北陸新幹線が開通しても「日帰り客が多いだろう」と考えている向きが多いようです。
そこで考えられている「宿泊増加」作戦を幾つか紹介します。

福井県は金沢まで来たお客に福井まで足を伸ばし宿泊して貰う算段です。
2016年に開業予定の福井駅西口再開発ビルに作るプラネタリウムは夜間も営業して宿泊客に対応の予定だそうです。

勝山市の恐竜博物館や一乗谷朝倉氏遺跡との組み合わせツアーなども計画中と言う事です。

石川県は金沢城公園の本丸園地を、今秋から夜間も公開するようです。
また、11月の特定の週末には午後9時まで営業する事を計画しているようです。

同じ時期、「夜間無料開放する兼六園と併せて夜間の公園を楽しんで欲しい」(日経新聞)、と言う事です。

また、「泉鏡花記念館」「金沢ふるさと偉人館」の通常5~6時閉館を9時閉館に伸ばしています。

富山県も五箇山のライトアップなど夜の観光に力を入れて行く、という事らしく、新幹線開業に向けた取り組みをいろいろ進めている様子です。

以上は各県の中心都市の新幹線開通対応策ですが、あなたの店の対応策はいかがですか。

役所すら始めている事です。商人のあなたがやらなくてどうするのですか。
いろいろ打つ手はあります。

先行事例のある九州や東北で聞いて見るのも手ですね。
先日、九州の開業時の話しをJR九州の役員さんから聞く機会がありました。

ヒントが色々。
ぜひその気になって聞いてみて下さい。

いろいろ言いましたが、ともかく、「何かをしなければ、何も変わらない」のが現実です。

地域の振興も一商店の新興も、「何かをすること」から始まります。
何もしなければいつもと変わらぬ、同じ日々が繰り返されるだけです。

【2】今回で当シリーズは、ひと先ず終わりです。有り難うございました。

いつの間にか時が過ぎました。
お役に立ったかどうか分かりませんが、有り難うございました。

当ページの読者様、当ページの提供社データシステム様。
重ねて有り難うございました。

業種、業態、経営規模など、さまざまな中、分からぬままに書かせて頂きました。
その点、深くお詫び致します。
読んで下さった方ゝ、感謝しております。

商いは「飽きない」です。
お客様は、飽きそうな日々を、売り手のために応えて下さっています。
有り難いことです。

私のこの原稿も5~6回目で飽きられかけたのでは、と思って工夫をしてみたのですがまだまだ、でした。

もう秋です。
気分のいいシーズンになります。
更なるご発展を、お祈りします。

筆者 下中ノボル (しもなかのぼる) プロフィール


*「店・企業は客の為にあり」が生涯の経営信条。(「商業界」理念)
*規模の大小を問わず企業生き残りの条件は「時流適応」と「顧客創造」。
*商業者に具体的アドバイスをする中小企業診断士。
*経営誌「商業界」、「2020AIM」などに執筆、他に著書多冊。
*中小企業経営大学校や各地商工会議所などの講師や専門委員を務める。
*専門課題は時流適応の商店経営戦略、マーケティング戦略など。

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