第14回 「景気回復」は自ら作り出すべし!

「景気回復」は自ら作り出すべし!
世の中の変化を見抜くべし
~個別企業では「増益」と「減益」のまだら模様!~
【1】貴店の景気はいかがですか?
最近、県内の牛丼チェーン店「すき家」とかコーヒー・チェーン店「スターバックス」などに行ってみましたか?
100円の回転すし「スシロー」にも行ってみましたか?
福井一のショッピングセンター「エルパ」はもちろん、福井初の「ドンキホーテ」も覗いたでしょうね。
しかし、飲食店が一番景気が分かり易いようなので、あちこち行ってみました。
結果は、「景気のいい店あり、悪い店あり」の”まだら模様”でした。

【いまは気分、感覚、感性の時代】
地元の街の飲食店に行ってみて感じるのは、「これではアカン。これじゃお客様が来ないのも仕方ないか!」という感じの店が少なくありません、残念ながら。
価格、安さも大事ですが、いまは「質の商い」「本気の商い」「本気のサービス」が問題じゃないかと思います。

ある店のせいで「福井のおろしそばの評価が下がりそう」と思える店もあります。
逆に、「この店で福井のそばがイメージアップされる」と思える店もあります。

細かい話になりますが、サービスの水、お茶、漬け物はもちろん、テーブルの上の花一輪にも心が通っているか、どうかをお客様が見ている昨今です。

「モノ」や「店舗施設」も大事ですが、今のお客様は「気分」「感じ」「場の空気」を大事にします。

「よい品」を「安く」といってもお客さま毎に感覚が異なりますから、「よい品」を「安く」と一括りにするのは難しいご時世です。
かつての時代の様に「画一的発想」では商いは難しい時代です。

【価格は量じゃない、品質の一部】
ある店で経験した例です~。
中小企業従業員の多い立地に店を構える、ランチ主力店の中心価格が800円でした。

相談を受けたので「少し価格を下げてみたら~」と言いますと、憤然と「ウチは安売りはしたくないのです。品質で勝負したいのです」という事でした。

近所に出ている競合店のPOPでは「ランチ580円」とか「650円」とかです。
この立地では「価格も品質」なのです。

当然、価格改定をしませんから、売上げ不振が続いていました。
それがある日突然、売上げ不振が我慢しきれなくて630円に下げました。
売上げは5割増しになりました。粗利益率もそこそこ確保しています。

理由は別として、ともかく「結果、オーライ」なのです。
お客様ニーズに合わせることと、安売りは違うことに気づいたのかと思ったらそうではなくて、単なる苦し紛れの値下げでした。

真似はしますが本質的に顧客志向が余り無い店です。お客様都合でなく、自己都合での経営、と見ました。
「お客様の視点に立つ」という「素直な考え」を持たないのですね。

【不易流行。基本にこだわるも流れても行く柔軟さ】
いささかニュアンスが異なりますが「不易流行」という言葉があります。
俳句の松尾芭蕉の俳諧論に出てくるのが原典らしいですが、いま、経営上でも多用されている理念です。

「キチンとした信念を持ち流れに流されない」、という解釈と
「基本理念は変えないで、時流に合わせてやり方を変えて行くこと」と解釈する人も居るようで、いろいろ解釈があるようです。

難しい事はさておき、私は、「大事な理念は永遠に変えないが、具体的展開は時流に合わせて変える」、という見解です。

さらに「商業界ゼミ理念」を例に言いますと、
「店はお客さまのためにあり」という理念は永久に変えないが、お客様のためにする商いのあり方、
サービス、対応法は時代に応じ、お客様ニーズに応じて変えて行くのが商いの道、と理解しています。

先のランチの価格決めにこの「不易流行」という言葉を当てはめてみます。
「店の近くで働いている人のためのランチ」、という基本理念は変えずに
価格やメニューなど状況にあわせて変えることが大事、と言うことですね。

「安売りしたくない」と頑張るのは、お客様都合でなく、売り手都合です。「我を張る」ということです。

「我を張る」ことも、もちろん大事です。しかし、商いは「買って貰ってナンボ」です。なかなか「我」は売れません。

商いはお客様志向、顧客適応が基本です。そう考えれば価格もメニューも自ずと決まってきます。

実際にお客様好みのランチを出して売れない訳が無く、偶然?の結果論ながら5割り増しの売上げが続いています。


そこで格言。
お客様都合の考えは「お値打ちで売れ筋発想」。
売り手都合の考えは「高コストで死に筋発想」。
商いはお客様に「買って貰ってナンボ発想」。

   「不易流行」 (ふえきりゅうこう)。
   これは今年の「商業界ゼミ北陸大会」のテーマです。

【2】世の中は変わる。ネタ話は読んだ者勝ち。
・イオンが大型農場を全国各区地で経営。
・PLANTが東証1部指定に。
・「夏休み予算?」、3年ぶりにプラス。
・マックも吉野家も客数減らす。
・セブンのドリップコーヒー1億杯突破。
などなど。

【イオンの直営農場経営と販売展開に注目】
日経紙によれば、イオンは2015年に今の3倍に当たる500ヘクタールの直営農場を展開する様です。
全国にある「耕作放棄地」は面積的には40万ヘクタールあり、滋賀県と同じ広さだそうです。

そこでイオンは500ヘクタールを直営農場にするという話です。
加えて契約農家の面積と併せると大変広い面積になります。

福井県にはイオンのスーパーは1店舗もありませんが、石川・富山など全国に
1、500店舗ほどあり、この店で自社PB野菜を売るという計画です。

IT活用やスーパーの配送網を使いコストを2割ほど抑え、イオンブランドの野菜を
自前のスーパーで売ると言うのですから、これは注目です。

キャベツや白菜など消費量の多い品目を選んで作って売るようですから、お客には好都合ですね。
イオンで売る野菜の内、PB野菜が今は4%の比率ですが、2年後くらいには20%にするというのです。

負けじとローソン系もヨーカドー系も同じ事をやるようですから、福井のスーパーも負けずに何らかの手を打って欲しいモノです。

【PLANTが東証一部指定に。そこで新業態店展開を想像すると…】
創業以来の経営コンセプト「顧客の生活のよりどころになる店でありたい」で成長してきましたが、
今回、東京証券取引所1部指定という、いわば一流の企業というお墨付きをも貰ったのがPLANTです。

当時、スーパーセンターという新しい業態の店を初めて作り、全国的に有名になりましたが、
今度も1500坪規模の新業態のディスカウント店を展開すると言うので注目です。

ディスカウント店モデルを世界的に見ると、アメリカのウォルマート・ストアがあります。
スーパーセンターのモデルもウォルマートでした。

ディスカウント・ストア (discount store)は、日用品・衣料品・食品・家電製品・玩具などを
セルフサービスで販売する低価格店ですが、PLANTは生鮮食品以外に絞った店にしそうです。

まあ、品揃え的には「ドンキー」の様な店をイメージしたり、ゲンキーの薬剤部分を除いた店を
イメージしてもいいかと思います。

また、大きな工具などを扱わない、ソフトな感覚のホームセンターという事も想像できます。

少し疲労気味の店舗を居抜きで安く求め、コストを抑え、買い手にも売り手にも妙味のある店舗経営をするようです。

ですが、PLANTの三ッ田社長は独創的なアイデアの持ち主ですから出来てみなければ分かりませんね。

とにかく「顧客の生活のよりどころになる店」を商いのテーマとするPLANTが、
「今のPLANTで充足できていないモノを提供してくれる」、のではと大いに期待されます。

【「夏休み予算?」、3年ぶりにプラス】
アベノミクス景気の外?にいる庶民が夏休みに使う、お金の予算が3年ぶりに増えたようです。

ウチは関係ない!という人も居ると思いますが、この夏休みに使う予算金額は3年ぶりに増えた、
という調査結果を発表している保険会社があります。
明治安田生命保険会社です。

1世帯当たり平均83,622円で、昨年より648円増えたそうです。
内訳を見ますと~。
◎既婚・子供有りで94,092円
◎未婚者は64,339円。

羨ましいですか?
切ないですか?

いやいや、この夏休みに7~8万円も使えるなんて実に、羨ましい次第です。

【マックも吉野家も客数減らす】
常勝軍のマックも苦戦しているようです。
7月の既存店売上げは前年同月比2.7%減。
定番品を値上げする一方、低価格品の品揃えを強化して集客力を高めるつもりが、
ハンバーガーの値上げばかりが有名になって客数減になっている様子。

大手企業でも情勢が読めない事ってあるんですね。2チャンネル辺りでは、マック経営陣への中傷も目立ちます。
「勝てば官軍、負ければ…」と言うことですか。

一方の吉野家。牛丼並盛りを380円から280円にして、一時、客数が伸びましたが7月から一桁の伸びにダウン。

今は「値下げによる集客効果は持続しない」と業界人はみています。
値下げを様子見していた同業の「すき家」「松屋」も思案投げ首の様子です。

「ライバルは同業者でなくコンビニや!」という声が聞こえます。
ともかく、アカン理由を外に求めている間は、アカンのでは?

【セブンのドリップコーヒー1億杯突破】
2013年の1月から売り始めたセブンーイレブンのセルフ販売・ドリップコーヒー
「SEVEN CAFE」の売上げがこの7月18日に1億杯を突破したようです。

始めは扱う店が少なかった様ですが、今は全国各地の12,500店で扱っていて、各店が一日当たり83杯売っています。

当面の年間販売目標は4億5000万杯だそうです。
購入客の半分が女性客でリピート率は55%以上という高率です。
今はアイスコーヒーが8割で、夏の新商材になっているようです。

佐藤可士和さんというクリエイティブディレクターのプロデュースのもとに立ち上げたブランドで、
1杯ごとのペーパードリップなどが特徴とか。

価格は、ホットコーヒーがレギュラーサイズ100円、Lサイズ150円。
アイスコーヒーはレギュラーサイズが100円、Lサイズが180円。

ネットのお客は「”コスパ”がよい!」と言っていますが~。
コストパフォーマンスの問題じゃないと思うのはシロウトの悲しさですか。


ともかく世の中変わる。
変わり続ける。
まさに「不易流行」であります。

筆者 下中ノボル (しもなかのぼる) プロフィール


*「店・企業は客の為にあり」が生涯の経営信条。(「商業界」理念)
*規模の大小を問わず企業生き残りの条件は「時流適応」と「顧客創造」。
*商業者に具体的アドバイスをする中小企業診断士。
*経営誌「商業界」、「2020AIM」などに執筆、他に著書多冊。
*中小企業経営大学校や各地商工会議所などの講師や専門委員を務める。
*専門課題は時流適応の商店経営戦略、マーケティング戦略など。

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