第10回 恥かきが繁盛の元

恥かきが繁盛の元
「応対販売」よりも「寄り添い販売」
~慣れたベテランより新人で先輩以上に売る人がいるワケ~


◎最近、恥をかいていますか?恥をかいて人は成長するのです。
 ・恥をかくのが嫌な人になっていませんか。恥こそ向上のエネルギーです。恥をかきたくないのは精神老化の始まりです。
 ・今日来たばかりの新人なのに、お客様から褒められる人がいます。逆に永年いてもお客様に褒められない人がいます。何か変だと思いませんか。
 ・「PB商品にはろくなモノがない」という人がいます。反対に「PB商品はお値打ち」と愛用する人がいます。何か変ではないですか。
 ・PB商品を他社との「違い創出」や「利益創出の武器」に活用する企業があります。お値打ちで買い手も得するのに否定的な考えは変ではないですか。
 ・アベノミクスで収入は増えないが物価が上がるので、生活防衛にPBを買っている消費者がいます。あなたも欲を出してPB商品で恥をかいてみませんか。
 ・損得とは何ですか?商いは難しいけれど、それが面白いんじゃないですか。あなたはどう思いますか?

何か変。シロウトのA子さんが来てから売上げが大幅アップ。
良い販売員、よく売る販売員の定義を変えなくちゃ。

「不思議なんです。A子さんが来てから精肉売場の応対販売が大幅にアップしたのです。彼女は精肉も販売も全くのシロウトなのに~」
そのスーパーのD店長が教えてくれました。

【シロウト販売員なのによく売る不思議】
A子さんは、子供が幼稚園に行くまでは、専業主婦をしていました。
この4月から、その子が幼稚園に行くようになったので、このスーパーのパートタイマーとして働き始めたのです。
販売の経験は全くありません。それなのに上手に売るのです。
店長はA子さんがナゼよく売るのか、見届けようと観察していましたがハッキリ分かりません。
顔見知りのお客が肉を買ってくれたので、聞いて見ました。
「A子さんはシロウトですが、買って頂いてどう感じましたか?」
お客は教えて呉れました。
「ええ、シロウトなのはすぐ分かりました。でも彼女は買わせる何かを持っていますね」
「まず彼女の印象ですが、それは販売員じゃなく顔見知りの主婦、という感じです。
安心感があります。売ってやろう、という気迫?を感じさせないのがいいです」
「販売員というより、普通のお客が”間に合わせ販売員”をしている、という感じです。
どんな料理をつくるのか、用途は何か、などお客同士感覚で聞いてくれるので安心です。
こちらの予算も感じ取ってくれて、無理強いしないからいいです」などなど、極めて好評なのです。

【恥をかきたくないベテラン販売員はダメ】
前の販売員は、永年の経験を持っていて、これと言った欠点は無かったのですが、お客様の評判は、残念ながら余り良くなかったのです。
お客様の感想では「恥をかかないベテラン販売員」だったのが、良い印象を与えなかった原因のようです。
「恥をかかない為に絶えず向上を目指す」ところを、ついつい、「恥をかかないように守り」に入ってしまっていたのですね。よくあることです。
D店長は今更ながら、「良い販売員の条件とは」と悩みました。

◎いろいろ考えたD店長が辿り着いたことは~。
・店側から見た良い販売員と、お客様から見た良い販売員は必ずしも同じではない、ということ。
・良い販売員とは、お客様から見て良い販売員であること。
・「よく売る」とは、「お客様様に信用されていて結果的によく売っている」ということ。
この極めて当たり前のことに、店長が気づいたようです。

【そこで一応の結論】
・お客様の立場で考え行動する人が良い販売員。
・常に「恥かきを恐れず」、恥をエネルギーに向上するのが良い販売員。
・更に、商品知識や販売技術だけでなく、お客様との人間関係を大事にして結果として、よく買って貰うのが良い販売員。
・「経済学ではなく心理学」を大事にしているのが良い販売員。

PB商品こそ必勝のツール。PB戦略の表層裏層。

PB商品=プライベートブランド(private brand)商品は、小売店・卸売業者が企画・生産し、独自のブランド(商標)で販売する商品。自主企画商品)
大手、中堅など殆どのスーパーなどがPB商品を戦略商品として使っています。
もちろん、中小企業でも重要な戦略商品です。旨く活用したいモノです。
そこで参考に、まず、経済誌の調査を見てみます。

【週刊”東洋経済”のPB商品に関するアンケート調査】2012年12月14日
今後の商店経営に大きく影響を与えるであろうPB商品について、週刊「東洋経済」誌がアンケート調査をおこなっています。(以下に要旨を紹介)

【8割以上のお客様が買っているPB商品こそ商いの目玉】
『PB商品を知っていますか?』
・「知っている」は87%
・「知らない」は13%

『PB商品を買いますか?』
「よく買う」が27%
「たまに買う」が58%(上記2質問で“PBを買う”が8割を超える)
「ほとんど買わない」は14%
「買わない」は2%

『1年前に比べてPB商品の購入は増えましたか?』
「増えた」18%
「やや増えた」37%
「やや減った」3%
「減った」1%
「1年前と変わらない」という人42%

【イオンのトップバリュがトップ】
『よく買うPB商品のブランドは?』  回答者1086人(複数回答可)
1位・「トップバリュ(イオングループ)」635人
2位・「セブンプレミアム(セブン&アイグループ)」417人
3位・「CO・OP」(生協)」212人
4位・「CGC」(シジシーグループ=全国の中小スーパーマーケットが加盟)181人
5位・「ファミリーマートコレクション」 100人

『信用のおけるPB商品のブランドは?』  回答者1086人 (複数回答可)
1位・トップバリュ 681人
2位・セブンプレミアム 490人
3位・CO・OP 328人、内「よく買う」 212人
  (これはCO・OPのPBは、「よく買っているわけではないが、信用度は高い」ということ)。
4位・CGC 170人
5位・ファミリーマートコレクション 111人

【売上げもトップバリュがトップ】
『2011年度のPBブランド別売上高』 週刊「東洋経済」編集部の調査による
1位・トップバリュ 5273億円
2位・セブンプレミアム 約4200億円
3位・CO・OP 約4100億円
4位・CGC 2789億円(卸売ベース)
5位・ローソンセレクト 約1000億円

【この調査及びPB商品に関する所感】
・これからのスーパー経営ではPB商品に大きな役割を負わせること。
・単なる商品戦略でなく高度な経営戦略のツールとして活用すること。
・マーケティング戦略、商品戦略、さらに具体的には利益戦略にも活かすべき。
「大手スーパーのPB戦略はこういう事か」ではなく「では、ウチはどうするか?を決断すべき時が来ている。

「お客様は神様?」「販売員も神様!」本気の接遇でないとお客様を失う。

【見抜けない?採用面接時のパフォーマンス】
「人材採用」の教科書通りに、「この人!」と思って採用しても、いい人材もいれば、イマイチの人もいます。
反対に、「まずまずの人材」と思って採用した人が、有能で、よく働き、よく売ることがあります。
おまけに、お客様の人気も上々だったりします。
そういう「意外な有能人材の選び方」が書いてあるテキストは余りありません。
その道の達人が書いた「人材選び法」がベストと言えないこともあるのですね。

「人の採用と育成」は実に難しいものです。
しかし、会社も店も人材次第で業績は変わります。
いい人を採用し、上手に育てれば店は繁盛します。
実際、ダメな店にはダメな人がいて、お客様への応対もダメなままです。
「どうしてこんな人を採用し、売場に出しているのだろう」と思うくらい、酷い店がありますね。

【人材の大事さが大事】
経営陣が、「商いにおける人の大事さ」を分かっていないのですね。
買い物に来たお客様は神経質です。命の次に大事な?おカネを活かせる店かどうか、神経質に観察しているのです。

そんなとき、無造作な応対、不親切な対応をすればお客様は買う気を無くし、店への信頼を失い、店から離れてゆきます。
お客様は本気のサービスを求めています。
真剣な経営信条の店をお客様は探しているのです。

【日米の代表的な経営信条】
アメリカの代表的な経営信条は「お客様は常に正しい」、です。
日本の代表的な経営信条は商業界の「店はお客様のためにある」です。

この二つの信条は「お客様の暮らしに正しく貢献する」、という基本理念に基づいています。

信条は「経営哲学」であり「お客様への公約」です。
本気で信条を作り、これを守る店がお客様の信用を得、繁盛するのです。

【真剣でない応対は経営の命取り】
「ある町の高級スーパーでの事例」です。
お客様が魚売場にいた従業員に聞きました。
「このアジはいつ来たのですか?」
けさ市場から来た(入荷した)商品かどうか、を聞いたのです。
「はあ?これは古くないですよ。鮮度はいいです!」
40才くらいの女性販売員が答えました。
お客様は「……」。

そのお客様は、結局、何も買わずに出て行きました。
「いい加減な応対に呆れたわ」と怒っている感じでした。
近くにいたベテラン販売員が小声で教えて呉れました。
「あのお客様は良く買って下さる”いいお客様”ですが、難しいお客様でもあります。怒りが納まるまで、まあ当分の間は来ていただけないと思います」

【噛み合わない人間関係では売れない】
普通以下?ではありましたが、「まあまあの応対」と筆者は観察していました。
しかし、怒ったお客様を見て感じました。これは商品知識や応対技術以前に、人間関係の歯車を噛み合わせることが重要なのだ、と。

【商品知識より大事な人間知識】
販売には、商品知識や応対技術は大事ですが、基本はお客様に対する真摯な態度、真剣な応対、お客様の身になった説明などが重要なのですね。

【寄り添う販売】
そのお客様に後で聞きました。素直に教えて呉れました。
「私は、売り手と買い手は”相対”する関係でなく、”寄り添う”関係であってほしいのです。友人知人、家族と同じように」。
「普通に信頼しあう人間関係、”寄り添う関係”」を望んでいるのです。
さっきの人の応対には人間関係のカケラも感じませんでした。

この様なお客様には、”普通に寄り添う”販売が大事なのです。
基本は”応対販売”でなく”寄り添い販売”です。

「お客様の身になる寄り添い販売」の時代なのです。

筆者 下中ノボル (しもなかのぼる) プロフィール


*「店・企業は客の為にあり」が生涯の経営信条。(「商業界」理念)
*規模の大小を問わず企業生き残りの条件は「時流適応」と「顧客創造」。
*商業者に具体的アドバイスをする中小企業診断士。
*経営誌「商業界」、「2020AIM」などに執筆、他に著書多冊。
*中小企業経営大学校や各地商工会議所などの講師や専門委員を務める。
*専門課題は時流適応の商店経営戦略、マーケティング戦略など。

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