第9回 情報をもっと活かしなはれ

情報をもっと活かしなはれ
「カン商売」の時代は過ぎた。「データ勘」に頼れ
~商いが難しい時代とは面白い時代でもある。知恵の出しどころです~


・株価も、まあ持ち直し、商業者にはいくらか元気が出てきた気配です。わが北陸の自然は三寒四温?です。
・商業の世界は「春近し」とまだ言えませんがマイナス発想ばかりでは、何も生まれてきません。それをこの何年間かで充分に学びました。
・私見を申し上げるなら、期待していた民主党がこけた今、安倍新政権に期待するほかないと、素直な気持ちで思っております。


春が来ました。気分的に景気が上向いてきました。いま頑張らずしていつ頑張るのですか?
商いの世界は無常です。「無情」ではなく「無常」すなわち「常ならず」です。かつての繁盛店が衰退し、未知数だった店が繁盛店になる時代です。
お客様はお客様自身に好ましい店を求めています。
お客様に好まれる店を目指してガンバリましょう!

商いの核兵器?「ビッグ・データ」を活かす経営を!

ポイント・カードの戦略価値を低く考えている企業があります。
今どきでも、ポイント・サービスは単なるコストだと考えているのではないでしょうか。
もっと重要な「戦略価値、情報価値」に気づいて欲しいものです。

「ビッグ・データが重要」などと、最近、新聞紙上などでよく見ますが、これはPOSデータやポイント・サービスで得られる情報、更にフェース・ブックやツイッターなどSNS(交流サイト)から得られる情報価値の重要性を総合的に言っているのです。

今からの商いは、顧客満足のための人的サービス競争時代である反面、情報競争の時代でもあります。

例えば、自店のポイント・カードを持つお客様が店内に入ると、
「いつ入られたか」、「いつ出られたか」、
「どの通路を歩かれたか」、「何と何に興味を示されたか」
などをIT装置が詳しく読み取る時代が来ています。
既に一部の企業では採用しているようです。
「売れないワケ」や「売れるワケ」をIT機器が推察する時代が来ているのです。

ローソンなどは売れない商品でも根気よく陳列していることがあるそうですが、これはビッグ・データの活用で、お客様の行動を読み取っていて、単純に「売上金額」のみでなく「リピート率」を見ているのです。
そうして、じっと観察していて、最後に販売に結びつけているのです。
「リピート狙い仕掛け」?の活用です。
われわれは、行き慣れた店やレストラン、あるいは買い慣れた商品を求めて同じところによく行きます(リピート行動)。
これを狙う方が無駄な宣伝をするよりず~と効果的なのです。狙いはビッグ・データから絞り込むのです。

また日経新聞には別の情報があります。
小型のショッピングセンター調査では「食品スーパー」と「書店」の関連が非常に強いそうです。
これは、「例の監視カメラ」で顧客の行動を詳細に調べた結果、分かったのです。

従来は「食品スーパー」と「衣料スーパー」に強い関連がある、と見られていたのが、この監視カメラ調査で、そうで無い事が分かったのです。

この様に、今まで経験やカンで商いをしていたのを多様なデータ「ビッグ・データ」で見直し、今日の顧客行動として把握、経営に活かす企業が増えているのです。
「情報を制するモノが顧客ニーズを制す」のです。

「消費税還元セール」はアカン?いや問題じゃない?

~国がなんでアカン言うんじゃ?売り出しにまで、国が口を出すと言うのはちょっとやり過ぎじゃないか。
~まあ、国にはそれなりのワケがあると思うが、恐らく消費税を上げるのを邪魔されたくないからやろう。
~いま、5%の消費税を8%とか10%にするとき、消費税分を「店が消費者に還元します(値引きします)」、というと消費者に混乱を与えるから国(政府)が困るので止めるんやないか。
~ほかにアカンという理由づけに別のことも言っておるよ。
~8%とか10%の還元、すなわち値引きをするときに、納入業者に協力せい!と言うことがあるからアカン、弱い者イジメをするからアカン、とも言っておるようや。
~新聞報道では「公取」が大手小売業者が仕入れ先を「買いたたく事がないように監視する」と言っておる。だが、商業者同士の「あ・うん」の呼吸での取引に「買いたたき」を見極めは難しいやろな。
~また、大手企業はそう言う還元・値引きセールが出来ても中小店は出来ないやろうからアカン、とも言っておる……。

この様に、マチの声はさまざまですが、ともかく消費増税時期に、商取引に「バイイングパワー」の強いスーパーやコンビニ、家電量販店、大規模小売店などに「消費税還元セール」などで、増税の邪魔をされたくないと言うのが本心?のようです。

もう一つのワケは~。商取引で立場の弱い中小の問屋・メーカーが増税分を上乗せして小売店に納入できない事が起きないようにすることです。
そして中小の納入業者に増税のしわ寄せがくるとアカンから、と言うことらしいです。

別の視点から見るために、改めて増税実施日程?をみますと~。
・8%にするのは2014年4月から
・10%にするのは2015年10月から
・約1年半(18ヶ月)の間に、2回の増税となるわけです。

2回に分かれる増税のため、値札変更が大変やろうから、一時的に「外税表示」を認めるようです。
どういう事かと言いますと、次の様のことが起きないように、と言うことです。
・現在、1、000円の商品には1,050円の値札が付いています。
・2014年4月に消費税8%となり、1,080円に値札を替えます。
・約1年半後の2015年10月に消費税10%になりますと再び1,100円に替えねばならないのです。
そこで、この様な手間を掛けないように「一時的に外税方式にして便宜を図る」と言うことらしいです。

しかし、本当にそうでしょうか。
問題は商品に付けられている値札…。2回も値札を付け替えるのは大変だ、と言いますが、実際、今どき一品ごとに値札を付けているスーパーや大型店は少ないはずです。
いまは「バーコード」と「スキャナー」で済ませているのが現実です。
税率が8%、10%と変わっても、コンピューター設定を変えるだけでしょう。コンピューター設定・操作でレジ精算も電子プライスカードも、即・変更できる筈です。

問題は中小店、専門店の値札やPOPやショーカードなどです。
これは手作業で変えるケースが多いと思います。もっとも、これも先述の様にITツールなどを使っている店では負担が少ないでしょうが。

問題は中小店、専門店などの「値札付け替え」と「プライスカード替え」をどうしたらムリをせずに行えるか、ということです。

例えば迷案?例ですが、
「“商品価格”は付いている値札価格の3%増しになります。ご了承下さいませ!」
などの国公認?の「暫定値札、お断りポスター」の配付などで、支援する姿勢を先ず示して欲しいのです。「自分でやれ!」ではなく。

現実は、値札を付け替える手間が無い中小店などは、増えた消費税を自店で負担することになるのでは、と案じます。
にもかかわらず「消費税をウチが負担しています、と宣伝したらアカン」、とクギを刺されています。中小店は「しんどい」ことです。

また、別の問題があります。いわゆる「スーパー価格」あるいはアメリカ式に言うなら「ウーマンプライス」の問題があります。

例えば5%の税込み「3,980円」の商品は、8%の税率になると
「4,099円」
になります。
お店はこの値段では売るでしょうか?
矢張りお客様が食いつきやすい「3,980円」のままで売ると思います。

では、この「99円」を誰が負担するのでしょうか。
国のお役人はどうしろと言うのでしょうか。

売れなくなっても「4,099円」でガンバって売れ、というのでしょうか。
それとも「仕入れ先に協力を求めるな」と言うのですから、
「小売店が損をしろ!」と言うのでしょうか。

恐らく「仕入れ価格の交渉をしなさい(値下げして貰いなさい)」、
あるいは「問屋と小売店が半分ずつを持ちなさい」、となるのではないでしょうか。
この様に「机上でない現実の売場」には難問題が多いのです。

また、8%にアップの時は「春から夏へ」、10%の時は「秋から初冬へ」と季節代わりの時期です。
ですから「季節性商品によっては、旨くこなせる」、という見立てをしている企業が既にあります。

いろいろ述べましたが、痛い目をするのは、やっぱり中小店なのでしょうか。
いやいや、したたかで知恵者の商業者は、国や消費者の想像を越えた妙案を必ず出し、人々をアッと言わせるのでは、と思います。

北陸の小売業界…。県外資本、大手資本が「春の嵐」状態

「金沢の老舗スーパー、東京ストアが民事再生法申請」になりました。
5店舗を残し6店舗を閉鎖ということらしいです。
創業者・箕田能昌元社長のお人柄を知るだけに、思いは複雑です。

日経新聞によりますと、セブン・イレブンなどのコンビニや県内外のドラッグストアの侵攻などが影響したと言うことです。
再興の手立てが講じられる筈ですが厳しい業界事情です。

金沢の郊外の人口急増地域では富山や岐阜のスーパー、福井や石川のドラッグストアなどが入り乱れて、激戦を展開しています。

福井市ではエルパ近くにディスカウントストア「ドン・キホーテ」が北陸最大規模で6月に出店します。
エルパは100店近い専門店集団で、核店のユニー、更にショッピングセンター(SC)周りの専門店の売上げなどを合計すると年間200億円以上を売る北陸最大規模のリージョナルSCです。

この近くに、「ドン・キホーテ」が出店するのですが、この「ドン・キホーテ」はご存じのように、ユニークな品揃え、営業を展開するディスカウントストアです。
福井での営業時間の発表は、まだありませんが、24時間営業もする企業なのです。

当然、エルパ、ユニーのほか、近隣の店はいろいろと手を打ってくるでしょうからこの地区から目は離せません。
エルパ周辺のこの地域が、更に集客力を増すことになるのは確実ですね。

既存勢力の百貨店も攻勢をかけてきています。
・福井の「西武福井店」は価格を抑えた「ジュンコ・シマダ」ブランドを増やすなど専門店強化を図っています。
・金沢の「大和香林坊店」はメンズ、レディスの有名ブランドを充実させました。
・金沢「めいてつ・エムザ」は「CHAPS」のメンズ・カジュアルを入れるなど専門店強化で頑張っています。
・富山でも「大和富山店」が高級品の充実を図って他との差別化を図るなど、百貨店業界も厳しい競争状態にあるのです。
・一方、大阪梅田の百貨店が福井のお客様に「おいで、おいで」の宣伝を仕掛けて来ます。
この様に各地の百貨店が福井市場を多様な形で攻めていることは見逃せません。

ともかく、スーパーマーケットから百貨店にいたる幅広い業態が、福井、更に北陸の小売市場のシェア争いをしているわけで、いずれも安閑としておれない状況にあるようです。

筆者 下中ノボル (しもなかのぼる) プロフィール


*「店・企業は客の為にあり」が生涯の経営信条。(「商業界」理念)
*規模の大小を問わず企業生き残りの条件は「時流適応」と「顧客創造」。
*商業者に具体的アドバイスをする中小企業診断士。
*経営誌「商業界」、「2020AIM」などに執筆、他に著書多冊。
*中小企業経営大学校や各地商工会議所などの講師や専門委員を務める。
*専門課題は時流適応の商店経営戦略、マーケティング戦略など。

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