第8回 笑顔で売場に立っていますか

笑顔で売場に立っていますか
品揃えやサービス以前にまず"人・こころ"揃えを
~小売業の本質は"笑顔業"~


・株価も、まあ持ち直し、商業者にはいくらか元気が出てきた気配です。わが北陸の自然は三寒四温?です。
・商業の世界は「春近し」とまだ言えませんがマイナス発想ばかりでは、何も生まれてきません。それをこの何年間かで充分に学びました。
・私見を申し上げるなら、期待していた民主党がこけた今、安倍新政権に期待するほかないと、素直な気持ちで思っております。

アベノミクス効果? 株価上昇、小売店の売上げ増加!?

「景気が良くなった?どこで?」「信じられん!」
疑いの声が多いです。
マスコミ報道では、リーマンショック以前の相場に戻った、と景気のいい話です。
現実の小売店の店頭では「そう甘くはありません。気分だけ明るくなりましたが~」という現実です。

「アベノミクス効果に伴う株価上昇。商品が売れる様になった。高額品の動きがよい。
高級レストランでは来客数と客単価が良くなってきた。
アパレルでもブランド品の動きが良くなってきた」、とマスコミは報道しています。

アベノミクスで小売業はどうなるのか?商業者は期待と不安でその趨勢を眺めています。
先日、黒田日銀総裁「候補」が国会で、
「やれることは何でもやります」と公約?しました。
安倍首相の経済政策を支持する、わが構想を述べただけで、経済界は反応し「円安が進み」、「株価上昇」しました。

ところで、アベノミクスとは?
安倍首相が打ち出した経済政策を他人がアベノミクスと言っているようです。(一説には本人は「アベノミクスとは言っていない」そうです)。
アメリカ、レーガン大統領(1980年代後半)が打ち出した経済政策「レーガノミクスReaganomics」と呼ばれ一応、成功だったようです。
「レーガンReagan」と「エコノミクスeconomics」を足した造語です。
これをもじって、「安倍abe」+「ミクスmics」=「abenomics」(abe+no+mics)と言っているようです。

ところで、アベノミクスについて、今一度おさらいをしてみます。
アベノミクスは「3本の矢」で構成されているようです。
すなわち、「金融政策」、「財政政策」、「成長政策」
の三本です。

すなわち、
・1本目の「金融政策」は政府・日銀による「目標インフレ2%」の設定(インフレターゲット)や「円安への誘導施策」など。
・2本目の「財政政策」は、財務省や政府が関わり、「超大型の補正予算」など。
・3本目の「成長戦略」は民間が主に関わり、中心施策は規制緩和などです。

今のところ、近来にない円安になっていて輸出型のビジネスにはプラスです。逆に輸入関係では、それなりの問題も生じていますが。

肝心の小売業者の反応は、と言いますと、「マスコミ報道は安倍首相の宣伝的な報道に感じる」というレベルです。
まだまだ売れていない、のが現実のようです。

北陸の大手ショッピングセンターで核店舗を含めた年商が200億円を超すと見られる福井のショッピングセンター「エルパ」の乙部専務に聞きましたところ、次の様な見解でした。
「アベノミクス効果もあってか、ウチのショッピングセンターでもよく売れている店があります。しかし、全体的に言いますと、いま一つですね。今後に期待しています」
こんなわけで、アベノミクス効果は今後に期待のようです。

ユニクロの離職率5割!入社3年内に半分が辞めるのはナゼ?

日本を代表する企業が当惑していることを話題にするのは、申し訳ないが、いささか興味深く、野次馬心理と併せてご一読を。

最近の「東洋経済」誌によりますと、ユニクロではともかく残業が多い様で、月間の残業時間は、上限240時間と決めてあるが、それを越えることが多いそうです。
しかし、そのリミットを越えますと、さらに厳しい罰則があるようです。
ですが、この時間内に業務が納まらないことが多く、規定時間を越える部分はタイムカード外の、いわゆるサービス残業にする社員が多いと言います。

だが、これが上役?に知れると更に厳しい罰則があるので、やむなく管理職という名の店長が働くことになるそうで~。
ところが、「東洋経済」誌によりますと、ユニクロの店長は「名ばかり管理職」のようだと書いています。
かつて、話題になった「マクドナルド」の「名ばかり店長の残業問題」が思い出されます。

ユニクロの店長の業務は管理業務4割、現場業務6割、と言うのが現状らしいです。
「店長の権限は決して大きくない。
什器の設置や商品の陳列の方法などは色の並び順まで全て決まっており店長の裁量権はせいぜい在庫の発注とスタッフの採用ぐらい」と「東洋経済」誌は伝えています。

とにかく従業員はグローバル・カンパニーで有名企業に勤める誇りは持てるが、働く環境としては厳しい面がある、というワケです。
世に言う、「良いことは二つ無い」、ということでしょうか。

09年入社の社員が3年内に5割超が辞めており同業の中でもかなりの高率だということです。(同誌)
「できないとは言えない社風」「言い訳を許さない企業文化」の影響で入社後半年で店長になっても「うつ病」になる人やそれで辞める人が多いようです。

12年8月期、ユニクロ店舗正社員の休業者のうち、42,9%がうつ病などの精神疾患だといいます。
民間調査機関「労務行政研究所」の2010年の「企業のメンタルヘルス対策に関する実態調査」によりますと~。
世間一般ではメンタルヘルス不調のため一ヶ月以上休職している正社員の割合が平均0,5%ですが、ユニクロではその6倍の約3%が休職している様です。

ともかく、一気に世界トップクラスの企業になろうとする企業の構想と、夢を持って入社した社員の間に意志のギャップや葛藤などがある、と言うわけです。

高度成長期の企業にはよくある「頑張りすぎ」「頑張らせすぎ」現象です。
また、業績のいい大企業の問題だけに「出る杭を打つ」「足を引っ張る」という世の中の、さもしい?批判に遭っている、と言うことでしょうか。

私見ですが、こんな場合、「金持ち喧嘩せず、のことわざ通りに世間、マスコミに言わせておけばいいのでは」と思います。
その間に「改善すべきは改善すれば」と思うのですが。
ユニクロのトップは「批判本」の回収や多額の賠償を求める裁判を起こしているようです。
「金持ち喧嘩せず」の逆のいきかたです。
これを「威嚇」訴訟と言う人もいるようです。
そして高額訴訟後は、マスコミのユニクロ批判は減ったと言います。
貧乏人から見れば、事態はユニクロの思うツボ?のように見えます。

しかし、世の評判は事の是非を問うように見えながら、実は「繁盛企業へのねたみ、そねみ」が多いのではないでしょうか。
正論と信じて論じる方法もあれば、言い負かせきれない「ねたみ、そねみ」は放置する方法もあります。
まあ、生き方、世の中への処し方は人それぞれではありますが~。

平成時代には、ことわざも変わるのでしょうか。
「金持ち、時には喧嘩する」、と。

“お客様を笑顔に変える”意志のある売場ですか?

「くだらない、と言う人もいますが~」。
「実はNHKドラマの中の話ですが、あんな“思い”を持って商いをしたいと思ったのです」と言う店主がいました。
「“思い”だけでも真似たいと思いながら、現実の日々は色んな出来事に流されて曖昧な経営をしています。慚愧に堪えません」とこの店主はいいます。

TVドラマ「純と愛」の女主人公が、祖父が営む宮古島の小さなホテルの経営コンセプト、「お客様を笑顔に変える魔法の国のようなホテル」にあこがれ、自分もホテル業界に入ってゆきます。
「ドラマっぽい話ではありますが、こんな夢を持つ素直さは失いたくないですからね」と、還暦を越えた店主がいいます。
ドラマのメインテーマとは別に、この「お客様を笑顔に変える魔法の国のような商店の経営をしたい」とその店主が言うのです。

この話を知人にしましたら、「そうですね。不愉快にしてくれる店は沢山ありますが…」と言うことでした。
「確かに~」と思いました。
商店経営の日々の中では「売れた、売れなかった」「利益が出た、出なかった」といった現実に振りまわされることが多いです。
しかし、こんな時、商いのもう一つの大事な役割を忘れない様にしたいですね。

「お客様に喜んでいただけた、喜んでもらえなかった」
「お客様に満足してもらった、満足してもらえなかった」
こうした思い、願いは商いの根本テーマですが、日々の商いでは忘れがちです。
「売れた、売れなかった」と言うことにとらわれてしまうのです。

ここで何を言いたいかといいますと、われわれは、お互いさま、日々、相当な支出、カネを払って生きているだから、払う方も、貰う方も、いつも、笑顔でおカネのやりとりをする世の中、商いの世界にしたい!
と言うことなのです。

「ポイント提供を止め、低価格でご奉仕します」
と宣言して話題を呼んでいたチェーン店が、6ヶ月余りで、
「メイン客層・主婦からのポイント再開要望が多いので復活します」
と発表しました。

理由はいろいろ取りざたされていますが、
「止める心意気に賛同していたのに残念!」
「要は自店の都合に過ぎない、ということか」、と厳しい声も聞こえます。

「過ちて改むるに憚ることなかれ」と、格言にあります様に改めることに賛成です。
ここで何よりも、お客様の声をしっかりと聞くこと、信念をもって改革すること。
それがお客様の満足の為に大事です、と言いたいです。

さらに重要な事は、商店が提供する顧客サービスには、このポイントサービスのように「やったり止めたり出来るサービス」もあれば、「絶対に止めてはならないサービスもある」と言うことです。
絶対止めることの出来ないサービスは、この章の最初に申し上げたコンセプトです。
「お客様を笑顔に変える魔法の国のような商店経営をする」ということです。

ところで、われわれが生きてゆく上で「買う」ということにどれだけの時間とおカネを使っているのでしょうか。

色んな調査、統計をみてアバウトに申しますと、生活者は、買い物回数は月に8~10回くらい。
1回の買い物に費やしている時間は、働いている人と働いていない人で若干差がありますが、まあ、平均すると30分前後です。
月当たりにしますと結構多くて、合計5時間前後くらいになります。

買い物金額は地域、年齢、既婚・未婚、職業などで統計に、かなりばらつきがありますが、一口に言って月に3~4万円くらい~。
生活者はこのほかに電気代や水道・光熱費などその他の支出総計20~30万円もあります。
(上記数字は、内閣府統計局や地方自治体、NHK放送文化研究所などの幾つかの統計数値を極めて大まかに要約していますので正確ではありません。文の責任は筆者にあります)

申し上げたいことを、繰り返します。

お客様は、何かを買うために、月に数時間をかけ、3~4万円のおカネを払って生きています。
その切実な買い物に費やす「時間とおカネ」を、われわれ商業者は、いつも笑顔で行い、価値あるものにしましょう。
そういう願いなのです。

筆者 下中ノボル (しもなかのぼる) プロフィール


*「店・企業は客の為にあり」が生涯の経営信条。(「商業界」理念)
*規模の大小を問わず企業生き残りの条件は「時流適応」と「顧客創造」。
*商業者に具体的アドバイスをする中小企業診断士。
*経営誌「商業界」、「2020AIM」などに執筆、他に著書多冊。
*中小企業経営大学校や各地商工会議所などの講師や専門委員を務める。
*専門課題は時流適応の商店経営戦略、マーケティング戦略など。

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